カラーネガの悪夢

カラーネガのスキャンは難しい。なぜなら濃いオレンジ色のフィルムベースのせいでモノクロネガよりさらに明暗の幅が狭いからだ。 しかもフィルムベースの色を取り除かないとならない。 またトーンカーブも3色別々だ。 このため、明暗レベル、コントラスト以外にホワイトバランスとフィルムベース色の除去を考えないとならない。

フィルムベースは紫

フィルムベースはオレンジだが反転させると紫になる。スキャンソフトはカラーネガを選択すると露出を測ったあとフィルムベースの色を計測し、この色を取り除く。自動で毎コマやるので時間がかかるが、スキャンソフトによっては手動でフィルムベース色を計測、設定できる機能がある。

ただこの紫色はどうしても出てきてしまうことがある。ニコンのスキャナーでポートラやエクターをスキャンするとシャドーが紫になることが多い。

シャドーの紫を除くにはLightRoomなどで紫のサチュレーションを下げて除去してしまうのが手っ取り早いが、近い色があると一緒に変わってしまうのが難点だ。

もう一つの方法はシャドー内の紫のみに補色を掛け合わせるやり方だ。LightRoomではスプリット・トーニングという機能があり、シャドーにHueが130ぐらいの緑をちょこっと足して紫を消す。 これもやりすぎると全体の色が緑変するのでけっこう難しい。

ちなみにアメリカのDPEでもいい加減なところは妙に緑がかかったプリントになる事があった。これと関連があるのかもしれない。

ホワイトバランスは諸刃の剣

カラーネガはベースの色を消しても色はかなり変なのでホワイトバランスを取らないとならない。 スキャンソフトは自動でホワイトバランスを調整できるが、必ずしもうまくいかない。

特筆すべきはニコンのスキャンソフトで、カメラで培った技術なのかホワイトバランスはきれいに合っている事が多い。

それでも転ぶときは転ぶもので遅かれ早かれ変な色になるのがでてくる。スキャンソフトによっては妙に青や黄色かぶりする場合も多い。 また画像の内容によって騙される事も多く、同じ撮影状況のコマなのに色が変わったりする。

スキャンソフトから思い切りWBがおかしい画像が出力されたものをあとでホワイトバランス調整する事もできる。だが、ホワイトバランスはコントラストや黒・白レベルに少なからず影響するので大きく変化させると画像が破綻してしまう事が多い。

グレーカードは有効

ホワイトバランスを正しく出すために一番良い方法はグレーカードを撮影して中点設定することだ。スキャンソフトはどれも画像プレビューの中をクリックしてグレー設定ができるようになっている。 いったん中点設定したら同じフィルムなら固定したままスキャンすると同じ色になる。

もし同じロールで違う照明下で撮影した場合、グレーカードを撮り直すのも手だが、太陽光でグレーを設定してあれば蛍光灯で緑に転んでもLightRoomなどでWBを調整するのは簡単だ。

また厳密に18%グレーカードを使わなくても、スキャンソフトはコンクリートなどのニュートラルな灰色でバランスを取れる。ただ、この際、うっかり紫が乗ったシャドー部でバランスを取ると変な色にしてしまうので気をつけないとならない。

実際の手順は(続く)