スキャンは撮影

フィルムスキャンの原理は写真を撮るのと同じだ。写真は反射光を撮影するがフィルムスキャナーはフィルムに逆から光をあて、透かして見える画像をセンサーで取り込む。 その違いはあるがピントと露出を合わせないとならないのは同じだ。

フォーカス

ピント合わせの方法はスキャナーによって違う。フラットベッドスキャナーはベッドのガラス面近辺に焦点が合うようになっていて、スキャナー本体ではピント調整ができない。 機種によって焦点の合う範囲が違う。 例えばエプソンのGTX900スキャナー(海外ではV700)は焦点の合う範囲はガラス面から2-4ミリぐらいの高さだ。

ニコンが以前販売していたフィルム専用スキャナー機はどれも光学系がモーターで動きピントを合わせられるようになっている。スキャンソフトがオートフォーカスしてくれるが、ソフトによってはマニュアル設定もできるようになっている。

フラットベッドスキャナーは組立とホルダーの機械精度でピントが決まるので工場出荷時の状態では最適になっていない可能性が高い。それでもウェブに出すレベルなら問題ないだろうが、アフターマーケットの高さ可変のホルダーでピントを追い込む事を考えてもいいだろう。

またニコンスキャナーのガラスホルダーは平面度が良く再現性がいいので手動フォーカスで固定してスキャンを高速化するワザもある。

露出

カメラをマニュアルモードで撮影すると明るすぎて真っ白になったり、暗すぎて真っ暗になる。スキャナーもこれと同じで露出を合わせて白が飛んだり暗が潰れたりしないようにしないとならない。

スキャンソフトは出力画像の白・黒・中点レベルをコントロールできるようになってるが、実はこれは露出とは全く関係ない。

露出の調整はスキャナーではカメラのように直接手動ではできない。スキャナー本体、もしくはスキャンソフトが自動で露出を調整する。 ニコンのスキャナーも含め、露出レベルそのものはセンサーに光を当てる時間で調整しているようだ。これはフィルムの色が濃いとスキャンする時間が長くなるのでわかる。

ただ、スキャンソフトよっては露出を固定できる機能があって間接的に露出を設定できる。 夜のストリートを撮ったロールなどコマごとに自動露出すると画調が全然変わってしまうような場合、この機能はとても有効だ。

フォーカスも露出も普通に自動で使えばそこそこの画が出てくるものだが、画質に不満がある場合、センサーから読み込まれた時点でおかしければその後どうデータをいじってもまともにならない。だからこのへんを理解するのは後々役に立つ。