Intuitのシステムダウンに見るポイントをもう二つほど。
復旧しかけたIntuitのサイトにCIOの名前で謝罪と説明文を掲載していたが、システム停止の理由を「メンテ中に間違って電源を落とした」と説明していた。 この説明はITプロフェッショナルから見ればおかしい。
ミッションクリティカルをうたうデータセンターで電源の冗長化は最初の課題だ。一系統がダウンしたらもう一系統の電源に切り替えて運用を続行せねばならない。 おそらく実際はそれぐらいの事はしていて、何らかの理由で全系統を切ってしまわなければならなかったのだと思われるが、説明にそれが反映されていない。
それどころか簡単に電源が落ちて止まってしまうインフラしか持っていなかったと思わせる説明だ。ITプロフェッショナルだったら忌避すべきイメージを平気で出してしまっているのだ。
これはITをただコストのかかる必要悪と見なす昨今のアメリカのコーポレートカルチャーと関わりがある。 ITが技術革新による効率化をもたらしたのは昔の話で、アメリカでは肥大化したITは真っ先に合理化のやり玉にあげられるご時世なのだ。 IntuitのCIOもオペレーション出身でIT技術畑を歩いてきた人ではない。
ITのトップになるには、例えば掃除夫が間違って電源を切ってもダウンしない強固なインフラを築く能力より、コスト減らしの手腕の方が優先されるのがアメリカのIT社会の現状だという事だ。
会社の価値(株価)の維持・成長のためにどんどんコストを削り続け、簡単に止まってしまうようなインフラで運営されているようなクラウドやサービスプロバイダーは今もあるだろうしこの先も増えるだろう。クラウドはユーザー側には不透明なものだから停まって非常事態が起きるまでわからない危うさは消えない。 クラウドに信頼性は本当にあるのだろうか。
最後に、クライシスにあたってのソーシャルメディアの利用として、今回Intuitのサポート掲示板には商品企画部の人員が出てきて怒るユーザー達の相手をしていた。 同じ説明を繰り返すだけで大した事は出来なかったが、対外的に沈黙しているよりは遥かに好感が持てた。 Intuit側の人間は顔写真をアバターにしているので、例えば若い女性の顔写真付きで出てくるコメントにはキツい事を言いかねるような印象もあった。 今回のように会社に世間の眼が向いたとき、プレスリリースや記者会見よりTwitterやサポート掲示板の方が情報伝達手段としての効用が大きいのを実感できた。
