コーヒーの淹れ方

日本の人たちはコーヒーにこだわる。日本に住んでた頃、よく洒落た喫茶店を見かけた。

洒落た喫茶店はそれだけで特別な淹れ方をしたコーヒーを出す、というイメージがある。もちろん内装や器もこだわっている店ならコーヒーにこだわりがあるのが当然だろう。

ところでアメリカには洒落た喫茶店なんて無い。 全くない訳ではないが、人口10万人に一軒あるかないかだ。 アメリカ人にとってコーヒーとはなんだろう。

ア・カップ・オブ・ジョー

アメリカ人にとってコーヒーとはたいしておしゃれなものではないと思う。 たいていの職場やコンビニにはドリップコーヒーマシンがあるが、出てくるのはなんかの豆をとりあえず炒って挽いてみたような、いわば焦げ豆茶みたいなとんでもない味だ。

ダイナーと呼ばれるアメリカ独特のレストランではさすがにそこまで不味くはないが、それでもコーヒーは薄い。まぁ無制限で何回でもつぎ足してくれるから薄い方がいいのだが。

アメリカではコーヒーをA cup of Joe (ジョーを一杯)という言い方もする。「明日のジョー」のジョーだ。 なぜコーヒーがジョーになったのかは諸説あって不明らしい。 どちらかというと田舎風な表現だがたいていのアメリカ人は知っている表現だ。

自分はその表現を聞くとダイナーの薄いコーヒーを思うかべる。

そしてダイナーのコーヒーは顔をしかめながら不味そうにすするもので、アメリカの伝統みたいなものなのだ。

コーヒーは肥満

スターバックスが流行ってからアメリカでもコーヒーにこだわる人が増えたかのように見える。

でもよく見るとあれはコーヒーを飲んでるのではなく、大量のミルクと砂糖をコーヒー味にして飲んでるだけ、みたいな気もする。ホイップクリームを盛ってたりしたらなおさらだ。

実際、スターバックスのサイトにカロリーが出ているが、みんなが良く飲んでるコーヒー味ドリンクはなんとご飯2杯分相当のものが多い。

近代アメリカではコーヒーは肥満の元でもある。自分にはどうも頂けない。

自分のコーヒーとは

自分は大のコーヒー好きなのだが、コーヒーとは周りと合わせて楽しむもの、と思っている。

朝起きて自分で淹れるコーヒーはそれなりの豆を手で挽いて丁寧にドリップする。その静かな時間と、しばらくして立ちのぼってくるコーヒー豆の香りはとても良いものなのだ。

だがハッシュブラウンが焼けるいい匂いのする、田舎風なダイナーで人の良さそうなウェイトレスが注いでくれた薄いコーヒーを、ちょっと顔をしかめてすする。 あの時間もとても味わい深い。

だから自分に取ってはどちらも正しいコーヒーの淹れ方だと思う。