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無関心だった645
6×6や6×9の中判はだいぶ前からやってたけど、6×4.5の存在にはあまり目がいかなかった。中判カメラでもハッセルのようにバックを変えれば6×4.5は撮れる。だけど6×6を撮るカメラでわざわざ6×4.5を撮る意味は無い。
それと645は世代が新しく機械式のカメラが無い。645はどれも全部電子式なのだ。もともと機械式カメラに興味があったので、645には大して関心が湧かなかった。
だがある日マミヤ645の中古MFレンズのコストパフォーマンスがすごく良さそうな事に気づいてしまった。調べてみると種類が豊富だし、なかなか良さそうな玉があるのだ。
M645レンズ群
中でも目をひくのが35mm F3.5、80mm F1.9、 80mm F4 マクロと 110mm F2.8だ。 45mm F2.8も大口径だ。 リーフシャッターのレンズまで数本あるからストロボも使いやすい。
6×4.5はレンズもボディもハッセルやSL66より小さく軽い。アメリカではマミヤ645のレンズはかなり安価にeBayに出まわっている。
M645レンズがどれだけお買い得かというと、例えばM645の35/3.5という広角はハッセルブラッドSWCよりさらに広くて明るいのに5分の1以下の価格だ。 M645の110/2.8はハッセルやSL66の120/4より1段明るい。 そして80/1.9なんて大口径は中判カメラの中で一番明るい。
といっても645と66を直接比較するのはあまり意味がない。それに高スペックの駄レンズなんてよくある話だ。 そこで調べてみたけどサンプル画像やアメリカの掲示板を見る限りM645レンズの評価はそこそこ高いようだ。
ここまで来たらマミヤ645を手に入れてぜひ試してみようという気になってしまう。
マミヤ645の世代
マミヤ M645は6×4.5フォーマットを採用した初めての画期的な機種だった。 なんて事も実は全く知らなかったのだが、調べてみるとマミヤのマニュアル645には大まかに2世代ある。
- 第1世代 M645とM645 1000Sに廉価版のM645J、
- 第2世代 645スーパー、645 Pro, 645Pro TL
最後にビギナーモデルの645Eと言うのもあった。第2世代はプラスチックボディになってフィルムバックが取り外し式になったが、全機種レンズマウントが共通しているので同じレンズが使える。 ただしファインダーやフィルムバックは世代間に互換性が無い。
このシリーズでどれが良いかと言うと、第2世代で一番成熟している645 Proや 645 Pro TLらしいのだが、価格もそれなりになってしまう。
第一世代のM645、M645 1000SにM645Jはかなり安く、ヤレていれば100ドルを切る。日本円の感覚で数千円だ。 M645と改良版のM645 1000Sは1975年から1990年まで15年間も販売されていた訳だし、中古で安くてもそれなりに使えるカメラのはずだ。
そこでボディはこの第一世代の3種のどれか、そして気になるレンズのうちからどれか一本を試してみる事にした。
やってきたM645キット
それなりに安いM645だが、レンズ2、3本を合わせて売っている場合、さらにお買い得になる。そこでeBayでお目当てレンズのどれかと一緒にボディを売っているオークションに幾つか入札した。
ところがみなさんわかっているらしく、良いレンズ入りのキットにはそこそこの値段がつく。けっこう手強い。幾つか入札しては負けると言う事を繰り返して、最終的にM645 1000Sに45/2.8, 80/1.9, 150/4のレンズ3本のセットを落札した。
といっても長期間しまってあったので、ボディは動作するかわからない、レンズはガラスには問題が無いが、動作は保証しないという、かなりのギャンブルオークションを落札してしまったのだった。
やってきたM645キットは、お目当ての85/1.9は美品でガラスも絞りも状態が良くひと安心。ところが150/4は絞りが閉まったまま戻らない。 45/2.8は絞りにオイルがにじんでいる。
と、まぁここまでは想定内だった。この難ありレンズ2本は安いので自分で治すかジャンクで処分すれば良い。
で、ボディだが、外観はそこそこきれい。塗装のハゲもあまり無い。モルトはボロボロだったがこれも想定内。 それでは、と新品の電池をいれて動かしてみたのだがミラーが戻らずシャッターが開いたままになってしまう。 これは半分くらい想定外だった。
素人修理
数年前、カメラ修理に憧れた事がある。最初の頃はボルシーやエグザクタをばらして元に戻せなくなったりしたけど、工具を揃えて古いローライフレックスを治したり、カメラのトップカバーを外してファインダーの清掃やメーター調整をしたりしてた。荒技でM42の銀銅テッサーを削ってペンタックスSPで使えるようにしたりもした。なので簡単な分解と清掃調整位はできる。
でも、シャッター関連とかムズカシイ機構を治すには自信が無い。だからきちんとした修理は専門家にやってもらっている。
ところがM645ボディは修理に出すにはあまりにも安い。修理費がボディより高くなるのだ。 そこでもしかしたら簡単な故障かもしれない、と自分に言い聞かせて開けて見てみる事にした。
第一の難関
巻き上げハンドルを外し、ミラーアップと多重露光のノブを外し、外皮をちょっとめくってネジ数個を外すと右側カバーが外れる。
ここまでは意外と簡単だった。 ところが開けてみると電子式とかいっときながら電子部品は隅っこにソレノイドが一個あるだけであとは歯車だらけ。フレックス基盤とか予想していたのに機械部品ばかりで話がちがう。
とにかく、ミラーアップしてフリーズした状態でソレノイドが押すべき小さなレバーを押してみた。するとパタン、とミラーが戻り後幕がしまる。機械部分は動くじゃんか。
どうやらミラーと先幕が機械式に動き、一定時間後にこのソレノイドがレバーをたたき後幕が走ってミラーが戻る仕組みのようだ。 電子式とはいってもこれなら判りやすい。
試しにソレノイドの端子に通電してみると動作してミラーが戻る。 ソレノイドへ信号が来ていないようである。 断線でもあるかと思って配線をたどって行くと、故障箇所が見つかった。
巻き上げレバーの前にリードスィッチがあり、シャッターリリースした瞬間にカムで押されシャッター制御回路に電源が入るようになっている。このリードスィッチが根元から折れていた。
リードスィッチの根元はプラスチックで経年劣化で折れたようだ。2液エポキシで接着したが、カムに押された際にかなりのトルクがかかるので二回もやり直した。
これでシャッターがパシャパシャ切れるようになった。感動した一瞬だ。
第二の難関
シャッターが切れるようになったので、パシャパシャやっていたが、なんかおかしい事にきづいた。シャッタースピードが一定しないようなのだ。
そこでシャッター速度を計ってみた。 フォトダイオードの光検出回路の出力をデジタルオシロで見る簡易法だ。 これでパシャパシャやっているとそのうちにどのシャッター速度にしても1/30になってしまった。
もういいや、とあきらめかけたが、動作をじっと見ていると、ソレノイドに押されたカムが戻らないようだ。 よく見てみるとカムの極細リターンスプリングが変なところに引っかかってしまっていた。 開けてすぐデジカメで撮ってあったので、拡大表示して比較できたのがよかった。デジカメもたまには役に立つ。
このスプリングをなんとかもとに戻してシャッター速度が設定に応じて変化するようになった。やれやれ。
第三の難関
そこでシャッター速度を計ってみたのだが、これが全くでたらめだ。 がっくりしたが、念のため、と機械系をちょっとずつ洗浄し、わずかずつ油をさしてみたら改善はしたが、ほど遠い。
そこでネットでマミヤ645の英文サービスマニュアルを見つけた。それによるとM645のシャッター速度調整は2カ所あって、巻き上げハンドルの根元にあるカムスィッチの接点タイミングで1/1000スピードを調整し、その後ボディ逆側の回路基板上の反固定抵抗で1/60を調整するとなっている。
いろいろと調整してみたが、低い方はバッチリできるが、1/125位から上は十分に早くできない。1/1000にいたってはシャッターが開かない。
これはどうやらシャッター幕のそのものに問題があるようだ。マニュアルにはこのへんの整備方法が載ってるのだけど、幕速度を計る計器が必要(自作できるが)だし、ボディもさらにばらさないとならない。 そこまでするのはちょっと無理があるので、ここでひとまず終わりにする事にした。 最初は遅いフィルムでじっくり撮るつもりだし。
第四の難関
閉めてしまう前にちょっとテストする事にした。 中身むき出しのままだけど80/1.9を付けてフィルムを入れて撮ってみる。 巻き上げオーケー。 でもファインダーのぞくと無限遠が合っていない。
実は分解する時にファインダースクリーンの調節ネジを間違ってまわしてしまったのだった。 これを調節してようやく合うようになった。
第五の難関
とにかく撮れるようになったので、ちょっと使ってみたが、上記にあるように3本あるレンズのうち一本しか使えない。 45/2.8は絞り羽根がオイルまみれ、そして150ミリは絞りが戻らない。
不動の二本とも光学系はピカピカなのでなんとももったいない話だ。これが気になってしょうがない。
そこで簡単そうな症状の150ミリレンズをまず治す事にした。 後部マウントリングをはずしてみるとはるか奥深くに外れたバネが見える。 バラし方がよくわからなかったので慎重にばらしていったが、絞りの連結系統をはずし、後ろ玉のアセンブリーをまわすと丸ごととれて来た。 素人ながら整備しやすくできてると感心するツクリだ。
これでバネに届くようになったので元のポストに掛けて、組み直して完成。 絞りがちゃんと自分で開くようになった。
これで150/4レンズで撮れるようになった。
第六の難関
よし、じゃあさらに、と絞り羽根が油まみれの45/2.8にも挑戦したが、マウントリングの+ネジが固くてどれもまわらない。ロックタイトでも使っているのか、と半田ごてで暖めたりしたけどとにかくまわらない。
ナメてしまいそうだったので安物のドライバーが良くないと気がつき、高級工具を注文するはめになった。知らなかったのだが、小型ネジの+はアメリカと日本では微妙に形が違うのだそうで、日本のカメラをいじるにはJIS-S用ドライバーが必要になるのだそうだ。
そこで何はともあれ、とドイツのWihaと念のためにアメリカのAcu-Min製を注文してみた。精密機器はドイツというイメージなので先入観ではWihaが上だったのだが、実際に使ってみたらWihaではネジがまわらず、Acu-Min製ドライバーでようやくまわった。 これでも一応アメリカ人なのでアメリカ製が期待に応えてくれると嬉しい物だ。
(更新続行中、また見にきてください)





