有隣堂でみつけたこだわり

有隣堂は神奈川が誇る本屋さんだ。横浜の人なら本屋といえば有隣堂だよね。自分は子供の頃から大の本好きで、日本に住んでた中高校生のころは伊勢佐木町の有隣堂によく通っていた。

今も日本に行くと有隣堂伊勢佐木町本店に寄ってみる。昭和31年築という時間を感じさせない内部のレイアウト。まるでタイムマシンのように変わらず同じだ。

一階に入ると吹き抜けの中二階になっていて天井が高くて明るい。今でこそふつうにある建築で違和感がないけれど、昭和31年築って事を考えたらすごいことだ。

一階には雑誌コーナーがある。人がたくさんいる有隣堂の雑誌コーナーは日本を凝縮して見れる小宇宙だ。雑誌も立ち読みしてる人も日本のトレンドを反映している。立ち読みしてる人たちの格好・ファッションで雑誌のカテゴリーを当てれるぐらいだ。サバゲーとか、ストリートファッションとか。この関係が目で見れるのはアメリカの本屋ではまずないことだ。


雑誌コーナーで日本のトレンド観察をしたら後ろの階段から中二階の踊り場にあがる。この階段にはいわくがあって必ず最上段でつまづいてコケるのだ。派手にころんだこともある。

前回行ったら「最上段は少し高くなっているから気をつけてね」と張り紙があって、あぁそうだったのか、と長年の疑問が氷解した思いがした。そしてやっぱり派手にけつまづいてしまった。

伊勢佐木町の有隣堂にはエレベーターがあって昔はエレベーターガールさんがいた覚えがある。でも自分は階段で各階をまわるのが好きなのでエレベーターは乗らない。

春に行った時も階段をあがり、三階で万年筆を買った。その後各階を見て回り降りてきながらふと階段のビニールタイルのきれいさに気がついた。

毎日たくさんの人が土足で通る階段は隅っこが真っ黒になる。でも有隣堂の階段は決して新しくはないビニールタイルが隅っこまでていねいに手入れされているのだ。

そんな誰も気にもとめないような事は、なおさら本当のこだわりがないとできない。そんな良いことを見た気になった。

子供の頃から変わらない有隣堂だけど日本に行くたびそのまま変わらずあってくれれば良いなと思う。