Ruins

廃墟写真と言うのがある。人が住まなくなって朽ち果てた建物とかの写真だ。自分は好きなのだが、どれでも、というわけではない。

そういった写真には二通りあるようだ。

ひとつは廃墟の「朽ち」、ぼろぼろになったさまを撮っているもの。おどろおどろしくて画になる。鳥肌が立つ怪談みたいな恐ろしさ。 いやおぞましや。

でもそういうのにはあまり惹かれない。逆に自分が惹かれるのはそこに居た人達と過ぎ去った時間を写しこんだ、そんな廃墟写真だ。

例えば朽ち果てたデトロイトの歴史的建造物を撮った Yves Merchand & Romain Meffre  の写真。80年も前の劇場やホテルの廃墟がある。いろんな人達が集まり華やかで活気があったろう当時の豪華絢爛さ、その面影をとどめながら朽ちて行く建物達の写真だ。

イギリスの写真家で戦争中に築かれた塹壕や構築物の廃墟を撮っているMarc Wilsonという人がいる。 彼が4x5で写す塹壕やトーチカは戦争の破壊に耐えうるために作られたのだが、今は静かに風景と一体化し、ゆっくり朽ちはてていっている。

そういう写真に惹かれるのはなぜだろうか、ときおり不思議に思っていた。

風景と一体化したような廃墟達はおどろおどろしくもなんともないようだ。いつもそこにあったのにいつの間にか使われなくなり、息を潜め、歴史のページをめくっていくかのように静かに朽ちて消えていく。

そしてそれは大切な物を失っていくような、そんな気持ちと似てるからではないか、と最近思うようになった。そしてなんとなく納得した。

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撹拌しないぞ

モノクロのネガ現像をはじめて数年になるけど、現像を面倒に思う事がある。

なぜなら撹拌しないとならないからだ。 ネガと現像液をタンクに入れ、ずっと撹拌してやらないとならない。これが以外と大変だ。しかも自分は未現像フィルムをためてしまうのでやるときは大量の現像をこなさないとならない。 一度に5本現像できる大型タンクに水をいっぱい入れ、数秒毎に上下ひっくり返すのはけっこう大変だし、増感現像だとこれを15分近く続ける事になる。正直なところやってられない。

そこでJoboのロータリープロセッサーで手抜き現像するようになった。ロータリープロセッサーはモーターでタンクをゴロゴロ回してくれるので、とても楽だ。 しかも撹拌の強さが一定なので再現性がとても良い。 もうこれ以外やりたくない、と普通のステンレスタンクやリールは処分してしまった。

だけどこのぐるぐる現像にも問題がある。休みなく撹拌するので、コントラストが上がりがちなのだ。 しかも自分は普段からモノクロは増感撮影なので、それをロータリー現像するともうパキンパキンのコントラストになりがちだ。

それが自分の写真のルックスだぜ、とかストリート写真家をきどってみたりしたけど、正直なところちょっとつまらない。

そこで今度は静止現像をやりだしてみた。現像液を100分の1や200分の1に希釈し、1時間から2時間以上かけて現像するやり方だ。 Rodinalという大昔からある現像液がこれに向いているというのでやってみた。増感現像もなんなくできてしまう。コントラストはうまく押さえ気味で、TRI−XやT−MAXで粒子がいい感触の仕上がりになる。

それよりなによりタンクに入れて一分ぐらい撹拌したら後は置いとけば良い。温度も室温でいい。楽だし、置いとくだけだから再現性はこの上なく良い。そしてどのフィルムでも現像時間は同じだからいろんなのをいっぺんに現像できる。増感もEI800とEI1600で撮ったのを一緒に現像できる。 他の事しながらできるので、モノクロ静止現像かけてからロータリーでカラーフィルム現像したり、しぶしぶ暗室兼トイレの掃除とかしたり、と効率も良い。

それでしばらくRodinal静止現像ばかりだったのだけど、Rodinal静止現像はムラが出やすい。 途中でワインをグラスの中で回すようにしてみたり、とかいろいろやったけどムラが出るときは出る。

これは静止現像の宿命なのか、と半ば諦めてたのだけど、アンセル・アダムスがHC110で静止現像みたいなのをやっていた、というのを読んだので自分でもやってみた。 そしたらなんとムラが出ない。 コントラストはちょっと上がるが、粒子はRodinalより押さえ気味だ。 TRI-X 三段増感もそこそこきれいに仕上がる。Rodinal静止現像で粒子がどうしても気に入らなかったHP5+もけっこうイケる。

という事ですっかりHC110静止現像に乗り換えてしまった。 でもときおりRodinal静止現像の粒子感と階調も良かったなぁと思うこともある。

なので混ぜたらどうなるんだろう。と最近ちょっと真剣に考えてる。

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Vivian Maierその後

Vivian Maier、一時期とても興味を持ってて彼女の写真を現像・スキャンしている人たちの活動をフォローしていた。 誰も知らなかった女性写真家が自分のためだけに何十年も膨大な量のストリート写真を撮り続け、そのフィルムの山を現代の若者が見つけた、という話しだ。

実は前、マンハッタン・ビーチへHadoopのトレーニングへ行った時、ちょうどロサンゼルス郊外でVivian Maier展が開かれていたので行ってきた。ロサンゼルス周辺はやたらとだだっ広いのでマンハッタン・ビーチからでもかなり遠かったが頑張って行ってきた。

展示があったのは倉庫といった方が良いような古いレンガ造りの建物の中だった。 モノクロのプリントが数十枚。カラーも20枚ぐらいはあったろうか。

見応えある展示だったのだが、いくつか気になった事があった。 プリントはビビアン本人が焼いた(焼かせた?)物が数枚あって、そのプリントは彼女の意思みたいな物が感じられた。 だが残りはビビアンの写真を発掘したジョン・マルーフがストレートにプリントしたもので、どうしても違う。

まぁ、それはしょうがないから目をつむるとしよう。でももうひとつ見てまわるにつれ気になった事がある。 プリントの値段だ。プリントにはなんと一枚7000ドルから1万ドル以上の値段がつけられていた。

ビビアンの写真が一躍注目を浴び展示まで出来るようになったのはKickstarterのクラウドファンディングで無名のアマチュア写真家だった彼女の作品を観て彼女のストーリーを知りたい人たちからン千万円のお金が集まったからだ。

なのにその金を元手にしてビビアンの作品を売って歩くというのはどういうつもりなのか。プリントの値段はあきらかに数千円単位のクラウドファンディングをするようなフツーの人たちを対象にしていない。

ビビアンのクラウドファインディングには何十万円相当の金額を出した人はいない。興味を持つお金持ちはいるだろうけど、自分の所有物にならないモノにそんな額を出す人は少ない。

この展示にはハリウッドの俳優だかが関わったとのことで、そのせいもあるのかもしれない。 でもただただ自分のために写真を撮り続けたビビアンのストーリーが捨て置かれプリントが「普通の」内装品にいかがですか、といわんばかりに陳列されているサマはすっかり興ざめだった。

 

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近況

すっかりご無沙汰してしまってました。 すっかり夏。暑い暑い。近況まとめ

カメラは最近買ってない。さらにあまり使ってないR4S、ローライフレックスMX, フジGW670とかを処分した。 えらいぞ。

でもかなり以前だけどライカRレンズ19/2.8と60/2.8を買い足した。どちらもかなり良いよ。

Metzのストロボをこれもだいぶ前に買った。 暗い室内でカラーフィルムでまともに撮れるので感動した。でも4×5に使うのにはパワー設定とかさっぱりわからん。

数年前、すでに期限切れのコダックE100GやE100GXをeBayで買った。それを遊びのつもりで一昨年1段増感で撮ったのをようやく現像した

フィルムがちょこちょこディスコンになるので多めに買い足している。ディスコンにならないのも値上がりするから今買っとく方が安くつくみたいだ。でも冷蔵庫も冷凍庫もワイン庫もいっぱい。

カミさん、トーナメントに出たりリーグでやるようになってテニス友達がけっこう増えた。請われてチームに参加して遠征試合とかまでしてる。

飼い猫の”CheeBee”、もう16, 7歳になる。時々辛そうだ。だいぶ前に高齢の猫によくある慢性腎不全と診断された。皮下輸液しているのだけど着実に悪化しているみたいだ。セルベスターは長いこともったのにな。

チビ猫は食べ物にうるさくて食べたくないモノが出てくるとぷいっと顔をそむけて立ち去ってしまう。 弱ってヨタヨタしててもこの毅然さは変わらない。

そういえば母親が「オレたちに明日は無いんだ。だから美味いものを食べるんだ」と言ってたのを思い出す。母親はまだピンピンしてるけど。

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Short sighted about Mobile

スマートフォンとかタブレットのモバイルデバイスの躍進が目覚しい。

全世界で毎日371,000人の赤ちゃんが生まれるが、毎日その3倍の勢いでモバイル端末ユーザーが増えている。アジア・アフリカ・インド地域はインターネットユーザーの半数がPCを使わずモバイルデバイスから接続している。

2015年にはアメリカもモバイルがインターネットユーザーの50%を超えると予想されていてる。だから今、アメリカではモバイル向け開発ラッシュが起こりつつある。

なので自分もいろいろなテクノロジーを取り入れようとしているのだけど、時々疑問に思うことがある。モバイルをめぐる動きというのは現状のデバイスとテクノロジー、例えばiPad, iPhoneやアンドロイド携帯がそのまま存在するという前提が多いのだ。

1990年代のポケベルを覚えているだろうか。携帯電話が普及する前、アメリカのティーンはポケベルを持つのがカッコ良さの第一条件だった。今思えばポケベルなんて昨今のモバイルデバイスには及びもつかないシロモノで、糸電話みたいなもんだ。

ポケベルと今の超高速データ通信までできちゃう携帯の間にはいろいろな発展があっていろんなテクノロジーが出てきた。実用化されなかったり、市場で陽の目を見ても消えていった物も多い。

歴史は繰り返す。現代のモバイルとかウェブ上のサービスは一過性のもので10年もすればウィキペディアで化石扱いされてるだろう。今みんなが飛びついているテクノロジーにはこの先どれだけの価値があるのだろうか。

ダーウィンの進化論と同じで、新しいモノにはいろいろなバリエーションが出てきてダメなモノは淘汰され、残ったモノが進化してさらに新しいモノになっていく。ポケベルが糸口になって携帯電話ネットワークに発達したように、テクノロジーは新しい世界を開いて役目を終えて行くことを繰り返す。

レスポンシブデザインだとかモバイルファーストデザインとか、オーグメンテッド・リアリティとか、積極的に取り込むのは大切だ。 でも同時に旗振りをする人たちのいうことを鵜呑みにばかりにはできない。冷めた目で見るのも必要なんだろうと思う。

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Film in the corner

ウチの近くのスーパーが閉店するので在庫一掃セールをやっている。特にワインが安い。

The End of Times

もともと会員カード使ったり12本まとめて買えばかなり割引があり、そこへ閉店セールでさらに値引きがある。合計でなんと6割引きの値段だ。

この手のスーパーはそこそこのワインをそこそこの値段で置いている事が多い。カリフォルニアワインは赤でも20ドル出せば結構良いのがある。それが一本たった8ドルだ。

ということでせっせと何回も通って買い込んでしまった。ワイン庫にメ一杯詰め込むので、フィルム達が追い出されてしまったが、仕方がない。しばらく冷蔵庫のコンニャクと同居してもらおう。

このスーパーが開店した時の事を覚えてるが、あれはもう20年以上前になる。今のマネージャーのオバちゃんは20代後半ぐらいからずっとこの店にいた。こう言っちゃ失礼だけど昔はさっそうとした金髪美人だった。そういう事を思い出すとかなり感慨深い。

Rescued

レジに並ぼうとしたら棚の隅にホコリをかぶってヤレた箱のコダックとフジのフィルム達がぶらさがっていた。商品が売りつくされガラガラの棚が規則的に並ぶスーパーのそこだけ時間が止まっているかのようだった。

期限をみたらあと数ヶ月しかない。最後の日に廃棄されるのだろうか。そう思うとかわいそうになって引き取ってきた。

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SL66 + Xenar 150/5.6

Lake Miramar

だいぶ前に手に入れたSchneider Kreuznach Xenar 150mm F5.6 レンズ、アダプターでSL66につけて使っている。 大判レンズなのでクラウン・グラフィックでも試してみたいが、SL66で使う方が楽なのでSL66につきっぱなしになっている。

0番シャッターを使う大判レンズは軽くて小型な物が多いらしい。 このXenar 150/5.6も軽量で小型で、まるで一眼レフのパンケーキレンズのようだ。 これでシャッターまで内蔵しているのだから、大したもんだ。

大判レンズをSL66につけると手軽にティルトして撮影できる。面白いのでこれも少しやってみた。 失敗覚悟で期限切れのフィルムをテキトウに自家現像だ。

近くの湖の遊歩道をジオラマ風に撮ってみたのだけど、遠すぎてうまくいかなかった。 実はファインダーに映る画があまりにシャープでよく見えて構図が遠過ぎる事に気がつかなかったのだ。 おかげで人物がケシツブのように小さくなってしまった。これでは何がなんだかわからない。 (画像クリックで拡大)

でもスキャンして真ん中を引き延ばしてみるとちゃんと人が歩いているところにピントがあっていた。 転がっている石とか木の枝まで見えている。すっごい。 全体的に発色は渋いが、これは期限切れフィルムのせいか。もっとも海から離れたら荒野ばかりのサンディエゴ近郊は実はこんな色だ。

SL66純正の150ミリレンズに比べたらオモチャみたいに見える大判レンズだがこのレンズで撮ってみて大判の面白さを垣間みた。 このXenarのようなレンズは中古なら値段もかなりお手頃だし、ポートレートでも遠景でも開けても絞ってもなんでも使えちゃって素晴らしい。

石ころまで見えちゃう


ところでこのSL66のフィルムバックが光線漏れしちゃっている。ダークスライドの開口部の端からのようで、調べたら開口部まわりのネジが緩んでいた。たぶんこれのせいだろうけど確認しないといけない。

で、このレンズをSL66で試してみたのがきっかけで大判を試してみたくなり、いろいろごそごそとやっているのだけど、それは今度また。

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