データはめちゃくちゃ

スキャナーからフィルムのRAWデータを取り出して見るとしよう。すると黒が明るく白が暗く、低コントラストなのにディテールが薄いなんとも酷い画が出てくる。

これはなぜか。まずスキャナーは(ポジとして見る)フィルムの一番暗いところが黒レベルになるように露出をする。 だが一番明るい部分を光学的に白くはできない。フィルムベースには色がついているし、クリアなベースでも透過光は輝度が落ちる。だから白は白っぽい灰色として記録される。しかもヒストグラムを見るとフィルムの色が薄い部分はあるところでピタリと終わりにならない。ダラダラと明るくなっていく。 これを反転すると黒が浮いて、明暗の幅が狭い画像になってしまうのだ。

さらにフィルムの感度というのは直線ではなく、暗い部分と白い部分では階調の段階がかなり違う。これはフィルムによっても異なり、フィルムそれぞれの持ち味になっている。 ただフィルムには人間の見た目とだいぶ違う階調で記録されてしまっているのだ。

明暗の幅を広げる

そこでスキャンされたデータは(ネガは反転ののち)、黒を黒レベルに、白を白レベルにしてやらないとならない。 スキャンソフトはこれを自動でしてくれる。だが、輝度はきれいに分散していないのでただ一番暗いレベルを黒にするだけでは不十分だ。 そのままではしっかりとした黒にならない。

そこで一番暗いところから数%明るいところまで全部黒にしてしまうというやり方が取られる。白でも同じ事をするので、明暗の幅を真っ黒から真っ白まで広げ、白・黒に近い部分は潰してしまう事になる。

またスキャン出力は明暗をきっちり広げず、あとでLightRoomやフォトショップで調整するのもありだ。例えばLightRoom4はヒストグラムの黒側をつぶれないように圧縮出来る様になっている。特にモノクロで黒や階調にこだわる場合、この明暗レベルの調整はスキャンソフトに任せず自分で細かく追い込んだほうが良いのかも知れない。

コントラスト調整

フィルムから読み出された階調そコントラスト調整が必要になる。この階調を整えるトーンカーブが曲者で、スキャンソフトによってはフィルムの銘柄に合わせたトーンカーブを適用できるものもあるし、理論ではDmaxがどうのこうのとか適正なんとかがどうだかで、理屈っぽい事を言い出したらキリがない。

だが今の時代、正しいカーブというのは無い。と断言していいと思う。

コントラスト、階調、色調はフィルムのアナログな持ち味と撮影する人の好みの融合だ。それができるからわざわざフィルムで撮ってスキャンするのだ。

だからスキャンソフト内で違うフィルムのトーンカーブを適用するのもありだし、スキャン出力後でフォトショップなどで好みに調整するのも大いにありだ。その場合スキャンソフト内でトーンカーブを適用せず素に近い状態で出力させれば、調整がしやすくなる。

この明暗とコントラストはスキャンソフト内、または編集ソフトで出来る。 どちらにしろ何をどう調整すればどうなるのか理解しておけば短時間で思った通りの画になる。

実際の操作は(続く)