ライカRレンズの攻略方法

ライカRレンズとは

ライカRレンズは目立たない。ライカのレンジファインダーカメラは伝説化してしまい、コレクターも多いのでレンズも高価だ。その影に隠れているうえにライカは高価というイメージがつきまとうからか。

ライカRレンズ
50・35ズミクロン 24エルマリート

ところが最近、Rレンズもボディもだいぶ値下がりしてきた。Rレンズは1960年代から製造され、初期型は十分手が届く値段になっている。また、一眼だからM型が苦手とする望遠レンズが使いやすく、R型の単焦点望遠レンズは意外と安価なものが多い。

ライカがRを打ち切り、Rユーザーがデジタルへ移行しつつある今、往年の銘レンズ群でフィルム撮影を楽しめる絶好の機会なのだ。

ライカと言えどRシリーズはただの中古レンズに中古カメラ。何を買うにしてもそこには偶然の要素があり、出会いの喜びと落胆がある。レンズの世代がどうのと細かいウンチクはどうでも良い。ホンネで好きで使えるレンズやカメラに出会えれば良いじゃないか。

 

R型レンズとボディ

Rレンズでフィルム撮影をするとなると、やはりRボディが一番使いやすい。 R型は1968年から生産されており、大きく分けて3つの世代がある。

  • ライカフレックス (1、2カム)- 全機械式一眼ボディ。スタンダード、SL、SL2がある。
  • R型 (3カム)- R3からR7までの電子式カメラ (R6、R6.2は機械式)
  • ROMマウント型 – R8, R9  Rマウントを電子化  これは未だに高価なのでパス。

初期型のライカフレックスSLとSL2はなかなか優れた機械式カメラで、値段もこなれている。 R3、R4もアメリカでは100ドル、一万円代だ。

これならeBayあたりで適当な安いボディを買ってRレンズをバシバシ使えそうじゃないか。というのがそもそもの考えだったが、実はそう簡単にはいかなかった。

R型の落し穴

ネットを探せばライカRの事を書いてあるページは幾つもあるが、踏み込んだ事を書いてあるのは少ない。高価だから欠点があるとは言いにくかったのか。

Rレンズを試してみて気がついたが、比較的安価な初期型には幾つか落し穴があるのだ。

ライカはボディの世代が変わる度にマウントにかなりの変更を加えており、レンズとボディには互換性の問題が幾つかある。ものによっては付きもしない。安くなったとは言ってもいまだそこそこの値段のRレンズ。 ボディとの相性を確認せずむやみに買いに走ると後悔する事になりかねない。 Rレンズを楽しむためのポイントをまとめてみた。

 

Rマウントの互換性

ライカのRマウントは変更が何度も加えられたので種類が幾つもある。

ライカRレンズ 3カム版
3番カム(Rカム)は突き出ている小さな部品

一番互換性があるのは3カムと呼ばれる形式のレンズだが、中古市場にはその一世代前の2カムが安くでている事が多い。

2カムレンズはSL・SL2用に作られたレンズでRボディでは絞り込み測光しないとならない。ところが外見上2カムと3カムの違いは確認しにくい。eBayではそんな事しらない人が出品していたりして、説明が無い事もよくある。

実はそういうのが一番の狙い所なのだが、初期型のRレンズは入手する場合、ボディとの相性がわかってないとならない。 下記はボディとレンズの互換性だ。

形式互換絞り込み非互換備考
1カムLeicaflexSL,
SL2,
R3-R7
R8, R9
2カムLeicaflex,
SL,
SL2
R3-R7R8, R9絞り込みでも測光できない場合も。
3カムLeicaflex,
SL, SL2,
R3-R7,
R8, R9
一番互換性が高い。
RカムR3-R9Leicaflex,
SL,
SL2
3カムの簡略型。Leicaflexにはマウントできなくしてある。
ROMR3-R9Leicaflex,
SL,
SL2

注:
Leicaflex = Leicaflex Standard
SL = Leicaflex SL
SL2 = Leicaflex SL2

カムの違いとは

カムの違いは絞り設定を伝達する機構の変更だ。考えてみればライカは30年以上かけて同じ機能を何回もいじくってただけなのだ。そのせいで世代間の互換性に問題ができてしまった。

しかもライカは旧世代と互換性のあるレンズを生産する傍ら、その当時の現行ボディでしか使えないレンズもせっせと生産していた。なので長期間製造されたレンズは互換性が違うバージョンが存在する。値段が下がったRレンズを物色する際に問題なのはこういった世代の違うRレンズとRボディとの互換性だ。

eBayを見ていると初期型で一番出回っているのは2カムレンズだ。だがライカフレックスSLでばりばりと使える2カムレンズはR3以降のボディでは絞り込み測光しなければならない。 絞り込んでAE撮影もできるのだが、いろいろ制約が多く使いづらい。

なので安価なR3、R4ボディを買って安価な2カムレンズを合わせると絞り込み測光でしか使えない、という状況になってしまう。 幸い2カムレンズは3カムへ改造可能だが、今度はそれなりの費用もかかってしまう。

問題が多い絞り込み測光

初期の2カムレンズが安価に入手できたとしよう。これをR3以降のボディで使うとなると絞り込み測光しないとらない。慣れればスムースにできるし、ちゃんと写るけど、めんどくさいしRボディの絞り込み測光には問題が多い。

まず絞り込みはレバーを操作するのだが、このレバーが折れるのだそうだ。確かに弱っちい。 しかも折れたら修理費は高い。

Rボディ絞り込みレバー
これは絶対折るでしょう

他にも問題を見つけた。手持ちのR4Sボディに2カムレンズをつけて絞り込み測光するとメーター値が2、3段高くでて暗く写ってしまう。

Rボディのマウント開口部を比べてみると世代によって細かい変更が見られる。特定の個体どうしの問題かもしれないが、2カムレンズをRボディで絞り込んでもまともに測光しない事もあると言う事だ。

3カムレンズにある問題

初期型Rレンズの中で、一番互換性があるのは3カムレンズだが、3カムレンズでも下記のレンズは後ろ玉が大きく、安価なLeicaflex SL ボディではミラーに干渉して使えない。アメリカのライカ専門職人さんでミラーを削ってくれるところもあるがそれなりの値段になる。

ライカレンズの後ろ玉
後ろ玉のガードリングはSLのミラーに当たる

16mm F2.8 Elmarit-R
19mm F2.8 Elmarit-R
24mm F2.8 Elmarit-R

なお、マウントアダプターを使って他メーカーのカメラで使うときもミラーが当たる可能性があるので注意が必要だ。

最適な組み合わせ

では何をどう組み合わせてライカRレンズを楽しむか。アダプターを使ってEOSやFDマウントで使うのも手だが、ここではRボディで使う場合に絞って組み合わせを考える。

ライカRレンズ、の雄ズミクロン50とSL2
SL2は最強
  • ライカフレックスSL22, 3カムレンズ - 歴代ライカ一眼の中でSL2が一番互換性がある。SL2は2、3カムレンズのどれでも使えミラー干渉も無い。さらに全機械式で信頼性があり、ファインダーも見やすく追針式のメーターも正確だ。ただSL2は生産数が少なく、価格が高めなのが残念。
  • ライカフレックスSL2カムレンズ - SL2の一世代前のSLはeBayやKEHでもかなり値段が下がっている。メーターは反応は遅いが驚くほど正確だ。SLを使うならミラーに干渉するレンズは避け、安価な2カムレンズを探すのが一番だろう。このやり方が一番コストが掛からないと思う。 ただSLはタマ数は多いが、SL2より古い。eBayで安価に入手するには、せめてそこそこの修理で使える個体を見極めないとならない。
  • R3、R4ボディと3カムレンズ – R3、R4ボディを安く買い、3カムレンズを探すか、もしくは2カムレンズを安価に買って3カムに改造する。これだとRレンズをAEで楽しめる。 ただRボディは修理代は高くつくので壊れたらジャンクと化す。R4でもM7でもD3でも電子式カメラはいつか絶対に壊れ、ゴミとなる。だが使い倒す覚悟さえつけばこの組み合わせは一番便利だ。
  • R6、R6.2ボディと3カムレンズ – R6、R6.2はRボディの中でも特別な存在だ。全機械式でフルマニュアル撮影のみの硬派なカメラなのだ。メーターはM6と同様。隠れたライカのF2と言っても良いが、R6は値崩れしてF2ASより安い出物も時折ある。Rシリーズの中で唯一、修理してでも使い続けるカメラだと思う。

ライカRに興味を持った時、アメリカで1、2と言われるライカの修理屋さん(女性である)に意見を聞いてみた。彼女の意見は、「ライカはRの部品をどんどん値上げするし、部品そのものが払底してきている」から修理は価値以上掛かる、ようするに覚悟しろ、と言う意見だった。

SL、SL2は機械式で頑丈に作ってあり、メンテのみで相当長持ちするだろう。R6、R6.2も機械式だ。R6はシャッターにSLみたいに汎用品の換えが効かないので寿命ではちょっと落ちる。電子式のR3,R4,R5,R7は明日にでも不動になる覚悟で使い倒すべきだ。

自分は機械式フルマニュアルで撮るのが好きなのでSL+2カム、SL2+2・3カム、もしくはR6+3カムレンズが好みだ。

レンズの狙いどころ

どんどんフィルムを使うためのRレンズだから、実用前提でそろえたい。だが中古で探すとなると出会いの運にも左右される。自分の独断で選んでみた。

超広角系

19mm F2.8 Elmarit-R もしくは21mm F4 Super Angulon-R

現在物色中。 21mm F3.4 Super Angulon-R と言うのもあるが、これは第一世代ボディのLeicaflex Standard でしか使えない。その場合もミラーアップして使うのでファインダーが必要になる。

広角系 (24mm ~ 35mm )

35mm F2 Summicron-R もしくは 35mm F2.8 Elmarit-R

35ミリ エルマリートは評判が良く、35ミリズミクロンより軽く値段も安いので狙いだと思う。

24mm F2.8 Elmarit-R もしくは28mm F2.8 Elmarit-R

24mm F2.8はミノルタの光学設計で、ミノルタ、ライカ版ともに銘レンズと言う人が多い。ブランドがなんだかんだ言ってないで楽しむべきだ。

標準 (~50mm)

50mm F2 Summicron-R もしくは 60mm F2.8 Macro Elmarit-R

50ミリズミクロンは安いし写りは良いし最初のRレンズとして最高だと思う。60ミリマクロエルマリートはマクロもできるが遠景も良く写るようだ。ズミクロンは至近撮影に弱いので最初からマクロエルマリートが良いかもしれない。

望遠

実はあまり望遠に興味が無かった。長いのはあっても滅多に使わないのだ。なので勉強中。下記に手が届く値段で使い出のありそうなR望遠レンズをまとめてみた。

90mm F2 Summicron-R もしくは 90mm F2.8 Elmarit-R

90ミリズミクロンはM型用に持っている。とても良いレンズだが外部ファインダー無しではフレーミングが難しい。 この焦点距離以上はMより一眼の方が使いやすい。90ズミクロン-Rは2x テレコンバーターをつけて180mm F4となる。ちょっと高価だが一本で2倍に使えるのでお買い得かもしれない。90エルマリート-Rはズミクロンより軽く、安い。そしてElproアタッチメントを付ければマクロ撮影もできてしまう。 どっちも使い出がありそうだ。

135mm F2.8 Elmarit-R

焦点距離の割に小型。かなり以前にディスコンになったせいか数はあまりないが比較的安価だ。

180mm F4 Elmar-R

R型レンズの180ミリは 180/2.0, 180/2.8, 180/3.4, 180/4 と種類がある。時々使うというのなら180/4が一番安価だ。

250mm F4 Telyt-R

暗いせいか安価で、50ズミクロン並みの値段だ。 だが、さて何を撮って良い物やら。

ラインナップ

一番コストパフォーマンスが高いラインナップは35エルマリートR + 60マクロエルマリートRじゃないかと思う。これで食卓からストリートスナップから旅行まで日常撮影がなんでもこなせる。eBayで見かけがボロでも光学系の状態が良いレンズが一番お買い得だ。

スタンダードな焦点距離の組み合わせだと35−60−100とか、28−50−90とかになるが、オークションで安いのを狙っていくとそうそううまくいかない。例えばのっけから24−35−50とか妙に近い焦点距離がそろったりする(ワタシです)。だがこれもまた面白い。 レンズは値崩れしないのでしっくり来るレンズに合うまで買い替えるという手もある。

アクセサリ

ライカのアクセサリー類は異様に高価だ。レンズフードやフィルターがとんでもない額で売っている。 レンズを買う場合前後キャップとフードのある無しでかなり出費が違ってくるので注意が必要だ。また、アジアからの購入を期待してとんでもない値段でeBayに出ている物も多いが、KEHのようなところで5分の1の値段で買える事もあるから探しまわるのが吉だ。

また中古でRレンズを揃えるとフィルターサイズが違って来るのでフィルターが増殖する。

なお、スーパーアンギュロンをぜひ試してみたい、と言う場合はライカフレックス・スタンダードで 21mm F3.4 Super Angulon-Rを使うと安くつく。この場合、外部ファインダーが必要になるが、このファインダーは高価なので、これも注意が必要だ。

ミノルタとの関係

SL2以降のライカRシリーズはミノルタと提携して開発され、レンズもミノルタが開発,もしくは製造した物がある。 下記のレンズはミノルタの光学設計だ。

  • 16mm F2.8 Elmarit-R
  • 24mm F2.8 Elmarit-R (初期はミノルタ製、後期はライカ製)
  • 35-70mm F3.5 Vario-Elmar-R (初期はミノルタ製、後期はライカ製)
  • 80-200 f/4.5 Vario Elmar-R
  • 75-200 f/4.5 Vario Elmar-R
  • 70-210 f/4 Vario Elmar-R
  • 500mm Mirror lens

ワタシはミノルタの光学設計に敬意を表して上記から一本入手する事にした。 単焦点レンズで撮るのが好きなのでズームは要らない。 魚眼も反射望遠にも興味が無い。なので24ミリを手に入れた。ずんぐりずっしりしているがボディに付けたバランスはとても良い。うつりもとても良い。

最後に、Rレンズにしろボディにしろミノルタと提携して設計、製造したからどうのこうのと言うウンチクは多いが、撮った写真にはウンチクは写らない。好きなレンズを好きなだけ好きなように使えば良いと思う。

2 thoughts on “ライカRレンズの攻略方法

  1. ライカ入門の私にとって、とても役立つ情報でした。ありがとうございます。

  2. 締めの言葉が、最高です。ウンチクは、写らない、自分の感性を大切に思い道理にシャッターを切る瞬間がたまらないですね。RFは、つまらな、レンズを換えてもファインダーに映るのは、何時も同じ虚像、レンズを通過した光が実像やはり、一眼レフが、良いですね。

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