掃除会社

自分には妹がいる。兄妹とも海外で育ったのだが数倍しっかりものの妹は10代で「外国はもういい」と帰国し、今は日本の某外資系企業でそれなりの役職について多忙にしている。

そんなキャリアウーマンの妹だが、子供の頃に父親が働いている「商事会社」を「掃除会社」だとしっかり思いこんでた事がある。本人も覚えていないかもしれないが、自分は意地悪くからかってたことを鮮明に覚えている。

去年、働き始めた今の会社は昔の上司がCIOについており、自分をソフト部門の統括者としてヘッドハントしてくれた。

その際に会社の事はいろいろ掘り下げて聞いた。なんでも業界の規模は円でン千億、会社は業界でトップシェアで年商は数百億。従業員は一万数千人。そして成長率はここ数年連続二桁。

それはすごい。よしやりましょう、と入社した。

オハイオにITのチームがあるというので行ってみて驚いた。これだけの規模の会社なのにエンタープライズシステムもなにもなく、骨董品の基幹システムを走らせているのだ。最初の2,3ヶ月はこの辺のシステムを把握して問題を潰していくだけで過ぎてしまった。

そして業務管理はエクセル。英語で言うとエクセル・ヘル。二桁成長率はうそではなく仕事はすごい勢いで周り続けエクセルファイルも分裂増殖しつづける。そうなると上層部が知りたがるデータがなかなかまとまらない。これには頭を抱えた。

そんなとき以前会社にいたデータベース屋が脱エクセルを目指してデータウェアハウスを立ち上げていたのを見つけた。DB屋はいなくなっちゃったそうだけど、ETLちゃんと走ってるしいろいろ引っ張ってきたデータは解析できるようになっていた。

これは使えるぞ、とまるでSFで不毛の惑星に眠っていた宇宙船を見つけたように喜んだが、まともにSQL書けるのは自分しかいない。しょうがないのでその後2ヶ月ほどはデータ解析に没頭して過ごした。ビジネスがどうなってるのか細かいレベルまで把握できたが、そのせいでさらにCレベルエグゼクティブから依頼が増え目がまわる毎日となった。

そればかりか、解析結果はエクセルで出せ、と言われた。泣きたくなった。

DB屋がなぜ失踪したのかわかるような気がしてきたころ、データ解析した結果、業績向上につれアメリカ全域に散らばっている一万数千人の従業員のエクセル手動式コスト・スケジュール管理が限界を超え、スケールアップできない状態だというのがわかった。

なので従業員がアクセスできる業務管理用のモバイルソフトを作ろうという事になり、チームを作って昼夜敢行中。これが今の状態だ。

そんな今の会社のコアビジネス、基幹業務はなにかと言うと、掃除なのだ。

業界トップで高成長を続け、名だたるデパートからスーパーと、万単位の店舗を取り扱い、アメリカどこ行ってもウチの従業員がいないところはないぐらいの規模を誇る、掃除会社なのだ。

別にそれでどうこうってわけではないんですけど、これってもしかして妹をバカにしてたバチが当たったんですかね。とふと思う。

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万年筆

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