TRI-X + HC-110

Joboのロータリープロセッサーは便利な上に必要な液量が少ない。 35ミリフィルムを5本、120フィルムなら6本いっぺんに現像できるのだけど、必要な液の量はたったの720ml。定着液も水洗促進液も720mlずつで良いのだ。

良い事だらけなのだけど、問題もある。 現像液はフィルム一本あたりに必要な原液の量というのがある。 感光した面積にもよるけどHC110 だとフィルム一本あたり4mlの原液が必要だ。 120フィルム6本を処理するにはの720mlの現像液に原液が24ml入ってないといけない。 これは原液を1:33ぐらいに薄めて使うと言う事で、コダックのデータシートでDilution-Bと呼ばれる希釈率になる。

Dilution-Bはスタンダードな希釈でデータもそろっている。ところがこのDilution-BでTRI-Xを現像すると現像時間が3分45秒と短くなってしまう。 これでは短くて毎回同じにできそうにない。 HC110+ロータリープロセッサーで現像した出来上がりは気に入っているので、いろいろ考えてTRI-Xを2段増感、EI1600で撮ってHC-110のDillution Bで現像する事を思いついた。 

+2増感だと時間が12分ぐらいになり、もたもたして10秒ぐらい間違っても大した影響はない。 EI1600 (Exposure Index)はISO1600の設定で撮るという事だ。撮るのは室内や夜が多いのでかえって都合が良い。 昼もオレンジフィルターやNDフィルターを使えば絞りを開けて撮れる。 EI1600と言えば、ネオパン1600が無くなってしまったけど、これで問題ない。

なのでTRI-Xを2段増感でHC110 Dilution Bで現像というのが今のところスタンダードになっている。 こうやって増感現像するとグレインが粗くなったりシャドーが黒つぶれしやすくなったりするけど、これはフィルムの味のうちだし、そもそも見る側には増感1600だろうが6400だろうが関係ない。  400じゃ無理だとあきらめて撮らないより、粗くても(粗いから)面白い画が撮れた方が全然良い。