雨の匂い

雨が降っている。 サンディエゴは冬に雨が降るけど、せいぜい数時間降って終わりな場合が多い。 休日家にいる朝に雨が降っているのは珍しい。

なのでこうやって午前中にコーヒーを飲みながら窓から入ってくる冷たい湿った空気を嗅いでたりするのは年に1回あるかないかだ。 ずっと晴れてばかりいるし、ちょっと街を離れれば荒野が続く地域なのだから、これはある意味貴重な時間だな。

ワタシのイメージする日本には、雨の降り始めの、あのコンクリートが湿った匂いがある。 日本の都会はどこも舗装されてコンクリートだらけだからだろうか。 あ、でもあれは暑い時期の雨だからなのか。

そういえば小さい頃住んでいたシドニーはスコールがあった。 母が運転する自動車の後ろの座席で、窓を開けてスコールを見上げていた記憶がある。 ちょうどハーバーブリッジをわたっていて、見上げると橋の鉄骨を背景に大粒の雨が土砂降りに落ちてくるのだ。 子供の頃からメガネかけてたし、暖い雨だったから濡れても平気だった。

もちろん車の中まで雨が入ってきてたと思うけど、母親はその時は何もいわなかった。 思うに視界が悪い土砂降りの中、必死で運転してたからだろう。 ウチの母は運転があまり上手でなかったから。

あの時、ハーバーブリッジを渡りきってちょっと行ったぐらいのところは雨がやんで雲の切れ間から夕日がさしていた。

スコールの後の街は何もかもがまばゆくキラキラと光っていたのがなつかしい。

たまにはいいね。 雨。